冬の外気が一気に冷え込む時期は我々楽器を趣味とする人間にとっては最もつらい時期ですね。
ときに練習場所が近所の公園や河川敷しかないという方、カラオケに毎回行くのはお金がという人も多いのではないでしょうか。
冬の海という厳しい環境の中でサックスを演奏しているゆゆが、今回は船乗りは意外と楽器練習がしやすい実情を書いてみたいと思います。
船の上では練習場所に困らない
ただでさえ練習場所に困る楽器練習、多くの方々がどこで練習しようか今日もお困りかと思います。
僕のような海上勤務の人間はというと、練習場所には意外と困っていなかったります。
というのも現代の船はほとんどがエンジンを使って動いていますので、その振動や騒音対策がある程度施されているからなんですね。
上の写真のような場所が船の舵がある舵機室といいます。
このような場所やエンジン本体がある機関室は航海中はものすごい騒音がします。
どれくらいかというと、普段そこまで音が響いてこないような居住区で寝ていても下船して家に帰ると初日は静かすぎて耳鳴りがするくらいです(笑)
そんな身体に影響が出るほど大きな音を遮ってくれる隔壁があるので、管楽器の中でも音が大きいサックスで吠えても他の人の耳には届きません。
むしろ停泊中でも発電機は回って多少大きな音は出てるので、それに負けないパワフルな音に育っていきます。
そんな比較的、練習環境には恵まれた船の生活にもおおきな障害がひとつあります。
冬の気温はサックスの天敵
これは陸上で音楽活動をしている方にも言えることでしょうが、冬の気温は寒さに影響を受けやすい楽器にはつらいものです。
時にサックスのような管楽器だとピッチは下がるわ、結露の水分でじゅるじゅるになるわと楽器への影響はもちろん。
演奏する人間にとっても指がかじかんで運指が思うようにできない、口ががたがた震えてそもそもアンブシュアが安定しないなどと気が滅入りますね。
現在、僕らが停泊する東北のとある港ではまさにそんな冬の影響をバリバリ受けております。
気温はマイナス5℃!(;´∀`)
もうピッチが下がりまくって合わない合わない(笑)
船内の居住区は暖房が効いていますが、先ほどの僕が普段練習している舵機室のような普段人間がいない場所はそんな配慮なんてございません。
風は入ってきませんが、そのまま外の寒さが鉄板を通ってダイレクトに伝わるのでめちゃくちゃ寒いです。
サックスに吹き込む息が冷えて、白い息がサックスから出たらめちゃくちゃスチームパンクっぽくてカッコいい気がします。
雪景色を背景にクリスマスの曲を吹いた動画を撮ろうと思いましたが、さすがにマイナスの世界はむき身の手では厳しい!
船乗りは演奏活動しやすい
乗船期間中は船で寝泊まりするため出勤の概念のない船乗りは、もしかしたらサラリーマンより自分の時間が作りやすいかもしれません。
練習しやすい場所も多いですし、なによりちょっとした船内イベントでサックスを演奏するとウケます(笑)
冬場の寒さという天敵もいますが、温かい時期は穏やかな海を見ながら楽器を演奏するとすごく浸れますよ。
音楽を演奏することで自分で自分を癒せるという最強のリラクゼーション効果もあるので、船乗りのみならず多くの方に音楽をする側に触れてみていただければ嬉しいです。